天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

熱海梅園

熱海梅園にて

 二月十二日のブログで取り上げた熱海梅園をふたたび訪れた。梅の花は満開でさすがに見ごたえがあった。今回、新しく気づいたのは、まず園内に句碑が六基あること。


     梅が香にのつと日の出る山路かな    松尾芭蕉
     夏すでに漲る汐の迅さかな       武田鶯塘
     月光は流れに砕け河鹿なく       波多野光雨
     梅園や湯あみの里の出養生       石田春雅
     三界のさとを出あるく頭巾かな     斧 三休
     梅一輪南枝一輪また一輪        詠人不知


次に知ったことは、梅園を流れる初川には漸佳(ざんか)、迎月(げいげつ)、雙眉(そうび)、香浮(こうふ)、駐杖(ちゅうじょう)などという名前のついた五橋が掛っていること。また三つ目には、梅園に六本の名木(三つ子樟、根なし梅、腰掛欅、供養梅、石割り榊、貫一お宮の梅)があること。


     隧道の暗き口見る梅の花
     池の辺の石割り榊梅の花
     川の辺の腰掛欅梅の花
     目白来て白き花咲く根なし梅
     梅の香や亭々と立つ三つ子楠


  台風に幹を裂かれし「根なし梅」白き花咲き目白とび交ふ
  梅咲きて緋鯉真鯉のあぎとへる池のほとりの石割り榊
  萌え出づる芹や薺は激つ瀬のしぶきに濡るる熱海梅園
  漸佳、迎月、雙眉、香浮、駐杖の五橋掛かれり梅園の川
  初川に梅見の滝をつくりたり人のくぐれる滝の裏側
  糸川の熱海さくらは散りにけりうすくれなゐの嫩葉つやめく
  二代目のお宮の松に近づけば貫一お宮の声が聞こえる


糸川沿いの桜は満開を過ぎて花はおおかた散って葉桜になりかけていた。