天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

桜狩(4)

衣笠山にて

 横須賀市衣笠山は、正しくは「鞍掛山」という。山の姿が馬の背に鞍を置いたように見えるところからついた名前らしい。紅葉の時期に訪れて桜木の多いことに驚き、春に来てみたいと思ったものだが、やっと実現した。でも残念ながら雨が降ったり他の場所に行っていたりして満開の時を逸してしまった。訪れた時は、葉桜になりかけていた。
 この山が桜の名所になったのは、日露戦争における三浦半島出身の戦没者の霊を慰めるため、数百株の桜樹と躑躅を植えて公園にしたことに始まる。今では桜樹は三千本を数え、その大半がソメイヨシノであるという。


     屋根越しに衣笠山の桜かな
     山中に入りて気付かぬ山桜
     山頂に夫婦ねころぶ桜かな
     桜狩衣笠山を縦断す
     

  丈高き山桜かな山道に散りたる花を見て仰ぎ見る
  おほかたは染井吉野といふめれど里より早く散る山の上