天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梅雨雑詠(4)

開成町あじさいの里にて

 神奈川県足柄上郡開成町あじさい祭が終わった後に訪ねてみた。いつものことだが、小田急開成駅で下車し、酒匂川沿いに歩いた。葭切(行々子とも)が啼いていた。今年初めて声を聞いた。はるかな懐かしさを感じる。


     対岸に行々子啼く酒匂川
     葭切のこゑなつかしき酒匂川
     葭切や河床あらはな酒匂川
     水音の高き足柄額の花
     紫陽花や咲きくたびれて色まだら
     水張田に影を映せり花葵


  農道に沿ひて咲きたる紫陽花のあらあらしきが足柄の里
  河床を白く濁れる水がゆく鮎はいづくに影をひそめし
  水ひきて河床白き酒匂川鷺や鵜の鳥堰に佇む
  紫陽花の咲き疲れたる農道に稲田うるほす高き水音
  あぢさゐの里のはづれの花葵梅雨の晴れ間をときめきにけり