天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新春詠(1)

藤沢諏訪神社

 日本においては、元旦と盆が一年のうちで気分を一新する時期。わけても正月には去年より積極的に生きようと人それぞれに何かを決意する。ただ現代ではこれをそのまま俳句や短歌に詠むことはない。日本各地の正月の風物詩は大切にしたい。


     路地の子が礼して駈けて年新た    菖蒲あや
     新春やまた新しく遺言書       及川 貞
     正月の雨夜の客につぐ火かな    長谷川春草


  寂しさを笑みにまぎらすことにさへ慣れてまたもや年を迎へぬ
                       吉井 勇
  いく万の研究カードに新年(にひどし)のひかりさすときこころ
  ひらめく                 木俣 修


  一茎(いつけい)の孔雀の羽根の輝きを机上にわれの年改まる
                       田谷 鋭
  新しき年のはじめにまづ思ふアンナプルナの昧爽(あさ)の薔薇色
                       畑 和子
  元日の闇まだふかき国はらを神の初火の幾千すぢ走る
                      前川佐美雄
  おほひくるひむがしの空くれなゐに睦月つきたち初春(はる)の
  神の手                  成瀬 有