天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

門松

横浜市舞岡公園にて

 新年に松を依代として年神が訪れる門である。むかしは十二月十三日から飾った。大晦日に飾るのは、一夜松といって忌み禁じられた。門松を取り払う日は地方によって異なる。関東では一月六日、関西では一月十四日である。正月の門松のある期間を松の内という。


  知らずしらず通りかかれり見おぼえのなきにしもあらぬ
  松たてる門               服部躬治


  門(かど)に結(ゆ)ふ松も軒場のしめ縄も信濃の風俗(てぶり)
  したしかりけり              岡 麓


  この河に集ふ百船船毎にわか松立ちて漕ぐ人はゐず
                      窪田空穂
  しづかなる春は 来むかふー。門松の ともしく立つが、
  かなひつつよき             釈 迢空


  下梯子(さげばしご)おろせしままの船の上門松かざりの笹が
  さやげり               尾山篤二郎


  松かざりすることもなき喪のわが家夜々(よひよひ)はやく
  門燈を消す               木俣 修