鳩
ハト科の鳥の総称。日本産には、キジバト、アオバト、シラコバトなどがいる。ドバトは、カワラバトを原種に作り出されたというから驚く。伝書鳩もカワラバトが原種という。
生くるとは愛にこころを砕くこと嘴(はし)合はす鳩は
日向をあゆむ 上田三四二
群れ鳩の中の一羽が吾に向き名前呼ばれし如く寄りくる
藤岡武雄
白き鳩一せいに地に下りたるか薄明の部屋をカサブランカ散る
永平 緑
おそ秋のとある心の隣にて満身白き鳩を休ます
小畑庸子
秋さむき唐招提寺鵄尾(たうせうだいじしび)の上に夕日
うすれて山鳩の鳴く 佐佐木信綱
山鳩をころしてきたる手で梳けば母の黒髪ながかりしかな
寺山修司
雨霧のくだりはじめし空間にさきに来てゐるやまばとひとつ
小池 光
叫びながら目醒める夜の心臓は鳩時計から飛びだした鳩
穂村 弘
胸腹を砂にうづめてしづもれる鳩の群見ゆ真夏日の下
弁当を開けば鳩の寄り来り首をもたげてなかなか去らず