天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

床屋

行きつけの理髪店

 理髪店。赤、白、青の帯を巻いた棒がくるくる回って、店の表示をしているが、このマークは西欧からきている。中世の西洋では、理髪師は外科医を兼ねて、瀉血や抜歯なども行った。赤・白・青に塗り分けた棒は、瀉血のときの血に染まった握り棒と包帯を象徴したもの。つまり中世の看板が現在に伝わっているのである。


  函館の床屋の弟子をおもひ出でぬ耳剃らせるがこころ
  よかりし                石川啄木


  理髪店のねぢりん棒はすこやかに動脈のあか静脈のあを
                      三浦槙子
  父とともに生きて在る日よ朝光(あさかげ)の床屋にならびて
  髪を刈らるる             窪田章一郎


  床屋にて首剃られいるわれのため遠き倉庫に翳おとす鳥
                      寺山修司
  天皇家の兄弟喧嘩横丁のうわさのように床屋は語る
                      小高 賢