天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早春賦(1)

鎌倉・長谷寺にて

 鎌倉の寺々を訪れると、庭には蝋梅、万作、福寿草などの花を見かける。梅の開花は少し遅れているようだ。


     ひらひらと鳩の降り来る寒九かな
     潮風に菜の花の黄の揺れ止まず
     潮風にほの白梅のつぼみかな
     笹子鳴く岡井隆を責むるがに
     一心に写経してをり福寿草
     石仏に供へし蜜柑栗鼠が食む
     まんさくの花はさみしや朝日光


  みんなみの空に雪雲湧き立ちて潮風荒き二宮の浜
  黒き肌荒々しくも現れて雪のなだるる丹沢山
  すさまじき松籟聞きてひさかたの朝日に向かふ水仙の花
  菜の花のまぶしき山ゆ見下せばささくれ立てる一月の海
  再生のドラマは刑事一課長名古屋章はすでに亡き人
  きさらぎの朝の湖面はなぎたれど岡井隆の別れし家族
  いかにして野球のバットを切り出さむ真直ぐならざる
  アオダモの木に


  山路きてふとも佇むつくづくと松の木に似るオオバ
  ヤシヤブシ


  如月の青き湖面に冬木々は朝の光の影を落とせり
  いのちとは何かをつねに問ひつづけ一生を終へし高山辰雄
  大空に音とどろかせ飛行機が雲吐きてゆく朝 極楽寺
  小さくも朝の日に照る福寿草咲きみてるありつのぐめるあり
  日朗の身を気遣へる文として土牢御書の碑(いしぶみ)はあり
  早春の花の色はも金色に蝋梅、万作、福寿草咲く
  バーボンを各種ためしてJIM・BEAMあらためてまた
  ブラックを飲む