天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

イチローを詠む(10)

ヤンキースのイチロー

 他の歌人が詠んだイチローの歌もあげておこう。いずれもアメリカへ渡って活躍し始めた頃のことで、何とも懐かしい。


  プラズマのテレビに見れば外人の中に戦うイチロー孤独
                     玉井清弘
  シアトルのイチローの秋如何ならむ箴言のごときその
  うつしみよ              水原紫苑


  大リーグへ海越ゆる日の イチローの立てそめしひげ
  いまだ短し              岡野弘彦


  憧れのイチロー見むと発ちゆける汝(なれ)には遠くあらぬ
  アメリカ               小林敦


 5月も末になったが、イチローの打撃不調は続く。心配なのは、打撃が他の選手に比べて弱々しく見劣りがすること。


  目標を見失ひたるイチローを追ひ詰めやまずファンと
  マスコミ


  引退の時期はむつかし拘れば無惨に終る野茂も松井も
  イチローの打球は弱しことごとくフライかゴロに野手
  の正面


今回をもって、このシリーズをいったん終りにします。