天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

馬(3)

アラブ種

 アラブ種は、現存する改良種の中で最初に確立した品種とされる。サラブレッドよりは小柄、華奢な体躯で、速力もサラブレッドには劣るが、耐久性に優れる。アラビア半島遊牧民ベドウィンにより、厳格な血統管理の元に改良が進められ品種として確立したという。サラブレッドはこのアラブを元にイギリスやその他の在来馬と掛け合わせて作られた。


  人も 馬も 道ゆきつかれ死ににけり。旅寝かさなる
  ほどのかそけさ          釈 迢空


  人も馬も寒くまたたき夕霧に濡れゆく街にさきはひもなし
                   木俣 修
  奔馬ひとつ冬のかすみの奥に消ゆわれのみが累々と子を
  持てりけり            葛原妙子


  しゅわしゅわと馬が尾を振る馬として在る寂しさに耐ふる
  如くに             杜沢光一郎


  馬柵(ませ)のなき草山ながらおのづから放牧の馬遠くあそばず
                   松村英一
  種馬の血管隆(たか)き胸郭が黒き陸地のごとく鎮まる
                  真鍋美恵子