天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

自然薯

N

 山野に自生するヤマイモ科の蔓性多年草。植物名は山の芋。夏に花が咲き、葉腋にムカゴをつける。秋から冬にかけて、この地上のムカゴを見つけて地下を深く掘ると長い根の自然薯が出てくる。粘りが強くすりおろして食べる。俳句では秋の季語。


     自然薯の美髯この世のけむりほど   木村虹雨
     朝市の婆の自然薯ひとならび     斎藤小夜


  長芋の白煮に箸をつけながらこのさえかへる朝をさびしむ
                       岡 麓
  雨季に入りまだ葉をもたぬ自然薯の太太しき蔓庭木をまけり
                     鹿児島寿蔵
  さきはひてひと尋(ひろ)こゆる自然薯を秋の厨に横たへにけり
                      後藤直