今年の立春は関東地方では夕方から雪になった。ニュースなどで立春と言われると、急に身の周りの自然の中に春の兆しを探す気分になる。
春立ちて月の幾夜ぞ雑木々(ざふきぎ)の風騒ぐ枝に我が
眼閃(ひらめ)く 北原白秋
立春のくもる葎(むぐら)に十姉妹(じふしまつ)遺棄せり
生かしおかるるわれが 塚本邦雄
さえざえと春立つらんかにごり酒ひとり酌みつつ息長
(おきなが)にわれ 坪野哲久
限りなき辛夷の蕾立春の天に向ひてすでにととのふ
岡部文夫
白い手紙がとどいて明日は春となるうすいがらすも磨いて
待たう 斎藤 史
立春の朝空浄し生のため捨てねばならぬものの如くにも
田谷 鋭