天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

立春を詠む(2)

水仙

 今年の立春は関東地方では夕方から雪になった。ニュースなどで立春と言われると、急に身の周りの自然の中に春の兆しを探す気分になる。


  春立ちて月の幾夜ぞ雑木々(ざふきぎ)の風騒ぐ枝に我が
  眼閃(ひらめ)く           北原白秋


  立春のくもる葎(むぐら)に十姉妹(じふしまつ)遺棄せり
  生かしおかるるわれが        塚本邦雄


  さえざえと春立つらんかにごり酒ひとり酌みつつ息長
  (おきなが)にわれ          坪野哲久


  限りなき辛夷の蕾立春の天に向ひてすでにととのふ
                    岡部文夫
  白い手紙がとどいて明日は春となるうすいがらすも磨いて
  待たう               斎藤 史


  立春の朝空浄し生のため捨てねばならぬものの如くにも      
                    田谷 鋭