天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新春の熱海梅園

熱海梅園梅見の滝

 熱海桜の糸川遊歩道から梅園まで坂道を延々と歩いた。入園の際にもらうパンフレットには、梅園の歴史が簡単に紹介されている。明治の初め、長与専斉が「国民の健康の元をつくるには温泉と自然に親しむことが第一」として、熱海梅園を開くことを提唱した。これに賛同した横浜の豪商・茂木惣兵衛らが、今の梅園の山林を拓いたという。
 中山晋平記念館の庭に、ヒマラヤ原産の黄花亜麻があるが、文字通り黄花が満開で早春の庭に華やかさを添えていた。梅園全体の開花状況は、まだ満開とは言えず、これからが本番となる。
この夜は、かんぽの宿に泊った。翌早朝は快晴で、半露天風呂から見る伊豆の海からの日の出は、房総半島の先端と海面を黄金に染めて荘厳であった。


     売店のうぐひす笛が客を呼ぶ
     初川の五橋をわたる梅見客
     肩すぼめうどんを啜る梅見客
     紅梅に梅見の滝の水しぶき
     笹鳴に耳そば立つる足湯かな
     寒風に顔さらしたる朝湯かな


  梅の枝にくくりつけたるスピーカー大道芸の始りを告ぐ
  梅園の紅白の梅透けて見ゆ梅見の滝の水のむかふに
  梅の花よりも桜の花が好き熱海に見たる目白の嗜好
  梅の花より高く紅白の梅の花咲く熱海梅園
  道ゆけば中山晋平作曲の童謡流る熱海梅園
  ムササビはかんぽの宿の上空を熱海めざして飛び去りゆきぬ
  湯に浸かり熱海の沖をながむれば伊豆の海坂朝日がのぼる