天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

水芭蕉

浜松市の公園にて

 サトイモ科の多年草。近畿以北の山間部の沼沢地に自生する。特に尾瀬湿原に群生する水芭蕉はよく知られている。真白な帆のように見えるのはサトイモ科特有の仏炎苞と呼ばれる部分で、それに包まれて10センチほどの棒状のものが花穂である。


     花と影ひとつに霧の水芭蕉     水原秋桜子
     水芭蕉思ひ述べざる如く咲く   久保田月鈴子
     岩屏風襟まだ固き水芭蕉       加藤耕子
     水芭蕉水さかのぼるごとくなり    小林康治
     水はまだ声を持たざる水芭蕉      黛 執
     影つねに水に流され水芭蕉      木内怜子


  向きむきに苞(はう)ひるがへり斉唱のごとく白噴く水芭蕉
                      三川 博