天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雉子(4)

東俣野の田野にて

 明るい草地に生息している。地上を歩き、主に草の種子、芽、葉などの植物性のものを食べるが、昆虫やクモなども食べる。繁殖期のオスは縄張り争いのために「ケーン」と大声で鳴き縄張りを主張する。両翼を広げて胴体に打ちつけてブルブル羽音を立てる動作を、「母衣(ほろ)打ち」と呼ぶ。飛ぶのは苦手だが、走るのは速い。地震の初期微動は、人間より数秒速く察知することができるという。


  谷地跡の冬青草に雉子みえ失ひて来し言葉かへり来
                   辺見じゅん
  あしびきの山のきぎすの鳴くこゑの声のみ残るこの世
  のことは              藤井常世


  はるかなる牧野の雉が鳴くときに近き茂みの雉もとよもす
                   石川不二子
  火のごとく雉あゆみをり村ひとつ無くなりゆかむ昼の
  静けさ               前登志夫


  雉子の声やめば林の雨明るし幸福はいますぐ掴まねば
                    寺山修司
  めざめゆく朝の意識の霞網おぼろおぼろに雄雉からみぬ
                    松平盟子