天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

天道虫(2)

横浜市俣野別邸庭園にて

 名前の由来は、太陽に向かって飛んで行くことから、太陽神の天道からきている。日本では赤や黄の地色に黒い水玉模様、あるいは黄に白の水玉模様のものが多い。幼虫・成虫とも強い物理刺激を受けると死んだふりをし、さらに関節部から体液を分泌する。この液体には強い異臭と苦味があり、外敵を撃退する。


     翅わつててんたう虫の飛びいづる   高野素十
     まづとまりゆつくり天道虫となる  廣瀬ひろし


  てのひらにのせて眺むる天道虫天地に生くるものは孤絶す
                     白石 昂
  てのひらの迷路の渦をさまよへるてんたう虫の背の赤と黒
                     塚本邦雄
  てのひらの天道虫をいじめおり行けども行けども手の野
  つづくぞ              佐佐木幸綱


  草をのぼる天道虫よ汝(なれ)はまだ地球が丸いことを知らない
                     高野公彦
  わが胸にてんとう虫の孤独なり桜若葉の切り通し道
                     塩野崎宏
  吾が作りし天道虫のブローチが道ゆく人の胸に見えたり
                     大橋栄一