天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

わが食卓から

 茶は亜熱帯東南アジア原産のツバキ科の常緑喬木で、その若葉を摘んで蒸し、冷却しさらに焙って作る。若葉を摘む時期により、一番茶、二番茶、三番茶などの区別がある。湯を注いで飲むのが煎茶、粉にして湯を混ぜるのが抹茶。


  茶を飲みて心静まれ長靴の重みが足につきて居るかな
                     島木赤彦

  茶まで断ちて
  わが平復を祈りたまふ
  母の今日また何か怒れる        石川啄木


  茶を淹れてわが子のまなこわらひ澄む煩悩の婦はまばたき
  止まず                山田あき


  本読む間に
  淹れた茶は冷えて、薄く澱んだ、
  ―妻のある喜びを、感ずる日曜の朝。   赤木健介


  さりげなく茶を呑み下すことすらもつかわるるものの
  抵抗なり                山崎方代