天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

相州大山の紅葉

大山寺にて

 大山寺石段沿いの紅葉は例年訪れる名所だが、なんとここはすでに散り始めていた。観光客もぐっと少なくなっていた。時間の都合で結局、大山寺にケーブルで往復しただけに終った。


     大山のもみぢが迫る這子坂
     茶湯寺へ橋かかりたる紅葉かな
     御開帳の終り間近や紅葉散る
     犬吠えて大山寺の紅葉果つ
     石階に老いうづくまる紅葉狩
     音に知る良弁滝の紅葉かな
     大山や膝の笑へる紅葉狩
     帰りには大山豆腐紅葉狩
     紅葉散つて鉄(くろがね)不動隠れけり


     
  這子坂、道灌塚の名を聞けば由縁知りたき大山の道
  朱に染めて白抜きの文字「南無大山鉄(くろがね)不動
  明王」の旗


  もみぢ散り人まばらなる谷間に大山寺の犬吠えやまず
  石階に黒き童子の並び立ちおほかた散りし紅葉を惜しむ
  時により登り下りが交替す大山寺のケーブルカーは
  大山のケーブルカーの先頭に立ちて撮りたり黄葉日に照る