天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

立冬の鎌倉

八幡宮の源平池にて

何度も書いているような気がするが、今年の気候は全く不順で出鱈目。秋らしい天気に出会うことなく立冬になってしまった。ただ立冬の当日だけは秋らしい陽気になった。今年も紅葉を見に出かけたいのだが、横浜、鎌倉周辺では時期尚早のようである。確認のために瑞泉寺に行ってみようと鎌倉駅に降り立ってバスを待ったのだが、一向に来る気配がない。しかも大変な人出である。しびれが切れたので、八幡宮へ行き源平池の敗荷(やれはす)取りを見て、旧川喜田邸の庭を通って寿福寺参道を覗き、八坂大神の力石に寄ってから江ノ電で藤沢に帰った。川喜田邸の庭の銀杏が見事に紅葉し始めていたのが今回の収穫と言えようか。


     幹枝の黒きあらはや枯葉ちる
     立冬や短き夏を惜しむ風
     参道に銀杏を煎る屋台かな
     引き抜きてボートに入れる破れ蓮(やれはちす)
     立冬や細き罅入る力石


  立冬の駅のホームに吹く風は短き夏の名残なりけり
  葉を落とし背丈伸びたる桜木の若きがならぶ若宮大路
  三艘のボート浮かべて三人が源平池に敗荷(やれはす)をとる
  大方はとり払はれし破れ蓮の源平池に泡噴き上がる
  石ふたつ水に洗へば鶴亀が現はるといふ相模風土記
  基氏の自筆の書など展示してそのかみしのぶ国宝館に
  離れ家にアラン・ドロンも泊りしと伝へて残る川喜田邸は
  大小の忘れられたる力石 八坂(やさか)大神(おおかみ)社務所の庭に


[注]この記事の状況は、11月7日ころなので、現時点の紅葉は別途ご確認ください。