天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蟹(6)

毛蟹webの画像から)

 海に棲む蟹の種類は多いが、日本でよく食べられるものをあげると、タラバガニ、ズワイガニ、毛蟹、松葉蟹、越前蟹、セイコガニ、アブラガニ、花咲蟹、栗蟹、ガザミ(ワタリガニ) など。


  横ばしる蘆間の蟹の雪ふればあなさむげにやいそぎかくるる
                 夫木抄・源 仲正
  荒磯(ありそ)べに嘆くともなき蟹の子の常(とこ)くれなゐに
  見ゆらむあはれ            斎藤茂吉


  海暮れて海産物館屋上にカニのネオンが動きはじめる
                     池本一郎
  酔い痴れて言い負かされてくずおれて下半身より蟹となりゆく
                    千々和久幸
  小さかるわが喜びのなかにしてからくれないの蟹がうごけり
                     香川 進
  大潮の夜(よる)だから産みに行かなくては 蟹のわたしは
  夢にてあせる            米川千嘉子


  潮のひびき 夕づくころとわれ思ふくれなゐの蟹汝と食ひゐて
                    大河原惇行