天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

くぬぎ(続2)

藤沢新林公園にて

 クヌギと間違いやすい樹にコナラがある。両者ともにブナ目ブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、どんぐりの実がなる。日本の雑木林に多く自生しており、樹液にカブトムシや蝶などの昆虫が集まる。違いは、樹皮、葉、実などの形や色つやで見分ける。多分、どんぐりの形の違いが一番分りやすい。


  山(やま)蚕(こ)生(あ)るる檪の原の色づくを夕べの雨の
  降りそそぎをり             高田浪吉


  夕日さす山の中腹(なかはら)檪生(くぬぎふ)の若葉の色は
  明るかりけり              松村英一


  夕日さす檪林の檪の葉かくしづかなる所かりけり
                      吉田正俊
  声をみだし蛺音みだしてからすらの冬小半日くぬぎ林は
                      有野正博
  山なかに絶ゆるまあらぬ時は逝きいま逝く時は檪の葉ふる
                      片山貞美
  秋くるる夕河ぞひのくぬぎ原うすき日影に小雀(こがら)
  なくなり                井上文雄