天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

今年の鎌倉紅葉谷

鎌倉・獅子舞にて

 しばらく見ないうちに、永福寺跡の発掘がかなり進んでいた。庭園の水路の形と堂宇の敷地の形が明らかになっている。この発掘現場を左手に見て二階堂川に沿って水源まで遡ると紅葉谷になる。ここは獅子舞というのが正式な地名らしい。この渓谷は春の桜、秋の紅葉が美しい名所である。ただここまで歩いてくる人たちは鎌倉通といってよいだろう。この日は写真教室なのか、十人くらいの人たちに先生らしき人が撮影に関する要点をコメントしていた。今年もみごとなもみじの情景を見ることができた。
 紅葉谷を登って天園に出て鎌倉の海を遠望し、更に歩いて鎌倉湖のバス停から大船に向かった。


     獅子舞とふ地名なりけり紅葉谷
     渓谷にそり返り見る大黄葉
     黄葉のけやきの幹のたくましき
     鎌倉や師走の山に栗鼠のこゑ


  御無沙汰の時を経たればとまどひて紅葉谷への道に迷ひぬ
  鬱深き杉の木立にかいま見ゆ檪(くぬぎ)のもみぢけやきの黄葉
  紅葉の谷くだりくる主婦たちの話題は夫や子供らのこと
  天園の頂きに立つ穂芒のかなたに光る鎌倉の海