飛行機(2/4)
1903年12月17日に米国でライト兄弟がライトフライヤー号による有人飛行を行い、1906年10月22日にはヨーロッパでサントス・デュモンが「14−bis号」で飛行を行った。この時代、骨組は木製、翼は布張りが一般的であった。実は、ライト兄弟よりも先に飛行機の原理を発見した人物は、日本人の二宮忠八という人だった。英国王立航空協会が、展示場へ忠八の「玉虫型飛行器」の模型を展示して、二宮忠八のことを紹介したという。ただ、彼には資金も後ろ盾もなかったので、実用機の製作までには至らなかった。
天つ風吹き立ちぬらし飛行機の翼に触れてゆく雲のあり
石榑千亦
定まりし夜の時刻に聞こえ来る輸送機は兵の死体積むといふ
長沢一作
翼(よく)燈(とう)の下なる深きくらやみに金片(きんぺん)の
ごと繊月(みかづき)かかる 宮 柊二
プロペラ機くもりに赤き灯をともしさびさびと居り小さき空港
高安国世
翼下はるか耀くメコン 北上のわれの男を沸騰さする
時田則雄
機上より見下す大地凹凸の断面みえて陸(くが)の寂しさ
筑波杏明
日は落ちてほどなき頃を縹(はなだ)色の北極の夜明け機を
包みたり 羽生田俊子