瑠璃(るり)

　ヒタキ科の鳥。大瑠璃、小瑠璃、瑠璃鶲などがいる。大瑠璃、小瑠璃はわが国には夏鳥として渡ってくる。瑠璃鶲は国内で季節移動する漂鳥。大瑠璃は渓流に沿った林に棲み、岩の割れ目に巣を作る。鶯、駒鳥とともに日本の三鳴鳥とされる。小瑠璃は本州中部以北の山地の藪にすむ夏鳥。

　　瑠璃鳥の夢呼び過ぎし森かげやしめり覚ゆるしろがねの笛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　尾上柴舟
　　松が枝にるりが窃(ひそか)に来て鳴くと庭しめやかに春雨
　　はふり　　　　　　　　　　　　　　　　　　長塚　節

　　瑠璃鳥の青き卵を握りしめ呆れぼれとして山くだりきつ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　岡野弘彦
　　大瑠璃の歩みゐたりしいささかの細砂(まさご)に月のかがやき
　　そめぬ　　　　　　　　　　　　　　　　　　山下陸奥

　　笹の葉を擡(もた)ぐれば目に入る小瑠璃の巣あないみじやと
　　息呑みて視る　　　　　　　　　　　　　　　窪田空穂

　　薪採りしは寒(かん)の間(ま)なれば夏鳥を知らず過ぎけり今鳴く
　　大瑠璃も　　　　　　　　　　　　　　　　　後藤直二

　　桑の実に嘴染めてうたはんか谷戸のオオルリおおそれみよと
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　玉井慶子
　　樹上高く宣言しをりぴいるりいぽぴいりいりい大瑠璃鳴きて
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伊藤一彦