豹(ひょう)
食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される獣である。イエネコを除くとネコ科の中で最も広く分布しており、その範囲はアフリカから東アジアにまで及ぶ。もっとも個体数が多いのはアフリカヒョウ。夜行性であり、暗闇でも物がよく見えるため夜が狩りの本番である。大ナマズを捕らえて食べるものもいる。黒豹は、突然変異で毛色が黒くなった個体。ただ豹柄はそのまま残っており、光の当たり方によって赤く透けて見える。
日光受けて黒豹の毛並むらさきにひかれば潜みゐし
斑点の見ゆ 初井しづ枝
ひとときの憩のごとく黒豹が高き鉄梁(てつりやう)の
うへに居りけり 佐藤佐太郎
綾羅(りようら)はためくごとき良夜ぞ獣園のくらやみ
にして豹変の豹 塚本邦雄
黒豹の全き黒に日当れば焙(あぶ)り出すごと豹文浮き来
蒔田さくら子
肥り気味の黒豹が木を駈け登る殺害なさぬ日常淫ら
佐佐木幸綱
野に挑むまなこは豹に似てゐるといはれぬ檻の豹より知らず
時田則雄