天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

観音ミュージアム

観音像

関東地方に豪雨注意報が出ている日、横浜や鎌倉では午前中に雨が止んで明るくなったので、極楽寺成就院、権五郎神社、長谷寺 と歩いてきた。秋の彼岸を過ぎた頃に見馴れた花と言えば、彼岸花や萩の花くらいだが、極楽寺江ノ電トンネル口の崖に群がって咲く青い朝顔は、不気味なくらいであった。極楽寺では参道の桜木の傷みが気になった。もっと手入れが必要だろう。成就院では、龍の口から水が出る手水鉢に惹かれた。この日もっとも驚いたのは、長谷寺の境内がリアレンジされて様変わりしていたこと。特に、観音ミュージアムができて、様々な観音像が展示されて見応えがあった。もとは宝物館であったところを改築したという。そこの出入り口に立つ金色の観音像も見事であった。
観音像以外に目立った展示は、長谷寺縁起絵巻である。これは大和長谷寺の創建の由来をまとめた『長谷寺縁起文』(伝菅原道真作)をもとに作られた絵巻という。大和長谷寺の復興資金を集めるために制作され、各地で絵解きに使われたらしい。上巻と中巻の概要が紹介されたパンフレットを貰ってきた。
なお奈良大和の長谷寺と鎌倉の長谷寺とは、徳道上人により彫られた二つの木の十一面観音像の縁で結ばれているという。(詳細な伝説は省略)


     記録的豪雨の後に秋きたる
     秋ふかみ肉汁うどんの幟立つ
     雨あがり生気みなぎる彼岸花
     寄る波にサーファの立つ朝の海
     門前の萩ちり初むる極楽寺
     境内は撮影禁止彼岸花
     秋彼岸龍が水吐く手水鉢
     汗拭くや龍が水吐く手水鉢
     秋雨の洗ひてすがし力石
     長谷寺や萩のしだるる石の階
     懸仏(かけぼとけ)前に汗拭く谷戸の寺
     鎌倉といへば武士(もののふ)萩の花


  サーファら海驢(あしか)の如くたむろして高波を待つ七里ガ浜に
  水を吐く龍に近づき汗を拭く行脚すがたの空海の前
  長谷寺の観光客にもててをり和み地蔵にさはり大黒
  金色の観音像のかがやきに魅せられて入る御仏の蔵
  こころみに紐解きて見よと置かれたる長谷寺縁起絵巻を開く