天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

地震を詠む(続)

地震で崩れた熊本城の石垣(webから

昨夜零時前に、福島沖で地震が発生した。テレビ画面に緊急地震通報が音声と共に表れてびっくり! 幸い津波は起きなかった。
地震については、2013年8月4日「地震を詠む」において、歴史的な経緯について触れたが、例歌は北原白秋の三首をあげたに止まった。今回は多くの例歌をあげてみる。
近年、国内外において被害を伴う地震がいくつか発生している。余震を入れるとかなりの頻度になる。


  薄寒み炉ばた親しきかたらひも絶やさぬほどの春の夜の地震
                       尾上柴舟
  地震の火にうからそろひてのがれしを十年(ととせ)の後の今日かたりあふ
                       岡 麓
  うちひさす みやこおほぢ も わたつみ の なみ の うねり
   と なゐ ふり やまず        会津八一


  わがむすめ六つになれるがいたいたしなゐにおびえて痩(やえ)の見えたる
                      若山牧水

  地震太く轟き過ぎし夜半にして青春に入る思ひひそけし
                      杉山 隆

  ことことと小さな地震が表からはいって裏へ抜けてゆきたり
                      山崎方代

  かすかなる目眩(めまひ)のごとく地震すぎてきざむ茗荷の香のもどりくる
                     富小路禎子

  その時はその時と思ひいねむとす東京直下の地震はいつぞ
                      宮地伸一

  しなざかる越の山古志地震にて解き放たれて牛うづくまる
                      宮 英子


 後の二首が地震を「じしん」と読み、他はすべて「ない」と読む。