孫を詠む(3/3)
我に勝ちえざる将棋をいつよりかやめたる孫のしつくりとせず
竹山 広
孫よわが幼きものよこの国の喉元は熱きものを忘れき
竹山 広
越えてきた六十余年を振り返り財はなけれど孫十一人
吉田秋陽
生まれたる孫抱きみれば色白し羅臼の海のクリオネに似て
秋葉雄愛
*クリオネ: 北極海などにすむ。体調は1センチから3センチほどで、流氷とともに北海道まで流れてきて、2月ごろの知床で見られることがある。生息している水深は幅広く、浅い水面下から、水深600mという深海にまで及ぶ。
娘(こ)を持たぬわれに女児(をみな)の孫誕生受話器に聞ける初夏の産声(こゑ)
吉野喜美
わが家に一歳半の和子(わこ)様(さま)の来て遊ぶ日は刃物を蔵(しま)ふ
高野公彦
「い」と「し」と「の」探し赤丸つけてをり新聞広げ四歳の孫
石川勝利