戦争を詠むー武器(1/4)
攻撃、防御、威嚇などのために用いる器具や装置類が武器、兵器になる。昔の刀、槍、甲冑などから現代の戦車、飛行機、軍艦、空母へと拡がった。特に核兵器は、人類のひいては地球の破滅をもたらしかねない。
ますらをの鞆(とも)の音すなりもののふの大臣(おほまへつきみ)楯(たて)立つらしも
*「兵」のところで解説済み。
ますらをの弓(ゆ)末(すゑ)振り起(をこ)し射つる矢を後(のち)見む人は語り継ぐがね
万葉集・笠 金村
*「ますらをの弓の端を振り起して射た矢を、後に見る人は語り継いでほしい。」
別れにし手束(たつか)の弓の白鳥を紀の川ゆすり恋ひぬ日ぞなき
源 俊頼
*手束の弓: 手に握り持つ弓。握るところの太い弓とも。
思ひきや手もふれざりし梓弓おきふし我が身なれむものとは
*「思いもしなかった。昔は手さえ触れなかった弓矢や武具を、起きても寝てもそばに置き、これほど我が身に馴らそうものとは。」
かたしきて寝(いね)る鎧の袖のうへおもひぞつもる越の白雪
秋なればこき紅葉葉を散らすなりわが討つ太刀の血煙を見よ
B29の巨体が燃えて落ちてゆくを、眼近くに見て、
涙ぐましき。 渡辺順三
*B29: アメリカのボーイング社が開発した大型戦略爆撃機。他に類を見ない高性能爆撃機として、太平洋戦争終盤の日本に大打撃を与えた。