天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

諷刺(4/10)

  ことばとふやはらかき角はえてゐる大かたつむりわが腕のぼる

                        上村典子

*ことばをやはらかき角に見立てているようだが、下句は作者がなにか言葉を発しようとしている状況を比喩しているのだろうか? 難解。

 

  炎天に穴掘る吾にうろんげな視線の寄れば屍体など欲し

                       富小路禎子

*うろんげ: 行動や素振りなどが怪しい、胡散臭いという意味。何故に炎天に穴を掘るのだろう、との疑問を分かってもらうには、いっそ屍体でもあればよいのだが、との気持ち。

 

  定型は手のつけられぬ幼帝だ疑似男根をこすりつけてる

                        加藤治郎

*なんとも解釈がためらわれる作品だ。

 

  ソマリアの餓死の子写るグラビヤの隣の頁に「三日で痩せます」

                        古田昭子

*肥満解消の薬か体操の仕方が隣の頁に紹介されているのだ。世界には餓死する子がいるというのに。

 

  蛇嫌ひが蛇に出遇ひて騒ぎをり昔ながらの手弱女ぶりに

                        築地正子

  フランスパンを小粋に抱ける男などに遇はざる村に住むのどけさや

                        築地正子

  男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす

                        俵 万智

 

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かたつむり