天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

故郷を詠む(9/9)

  古里はふるさと故に寂しさの限りなく湧くみなもとをもつ     
                     築地正子
  ふるさとの石鎚山系夕焼けて父のうた母のうた聞こゑくる    
                     豊島未来
  母の背に見しふるさとよ目つむれば雪の浄土のかがやきに充つ   
                     伊藤俊郎
  ふるさとよはげしき異郷なめくぢの背のひかりあふ廃井ふかしも  
                     小池 光
  生まれきてひめかたつむり角にふる露のひかりのあをき故郷   
                     小池 光
*ふるさとの思い出に、「なめくぢ」や「ひめかたつむり」を出すところが、小池光らしい。

  なんでもない会話なんでもない笑顔なんでもないからふるさとが好き  
                     俵 万智
  折りたたみ傘をたたんでゆくように汽車のりかえてふるさとに着く   
                     俵 万智
*上句の直喩が独特。

f:id:amanokakeru:20200325070804j:plain

石鎚山系 (WEBから)