天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

浜茄子と隼

イソヒヨドリ

 JR東海道線の横浜駅で早朝、信号故障が発生し、いつもの通勤で乗る藤沢駅に行ったところ復旧の目処がたたないとのことなので、休暇にすることにした。メールで会社へその旨通知し、さてどう時間を使おうか迷った末、江ノ島に行く。ヨットハーバー、灯台突堤、裏手の崖下を散策したが、思わぬ収穫があった。ハマナスの花盛りであり、隼の飛翔と磯鵯の聲を楽しむことができたのである。


       一山の甍五月の色の中
       昼すぎて釣り船帰る立夏かな
       江ノ島イソヒヨドリの声涼し
       夏の雛イソヒヨドリハヤブサ


     脚白き波打ち際の女学生 スカートたくしあげて遊べる
    繋留のヨットの帆綱風に鳴り今さかりなるハマナスの花
    潮風に吹かるるままに花ひらくハマヒルガオの淡きもも色
    老人が釣り糸垂るる突堤に釣るるを待ちて時をつぶせり
    飛び交ひて餌渡すなるハヤブサを撮らむと並ぶ望遠レンズ
    断崖の夏空翔くるハヤブサの色とらえむとカメラが狙ふ
    たはたはとホバリングせるハヤブサの眼鋭き断崖の空
    横縞の胸毛みせたりハヤブサホバリングせる断崖の空
    潮風のテトラポッドに来て啼けるイソヒヨドリの声の楽しさ
    生活の通りに猫のねそべりて人のまれなる昼をすごせり