もてなしの心
先の幻影まではいかないが、擬人法の例もある。
雲雀より空にやすらふ峠哉
やすらっているのはもちろん作者・芭蕉なのだが、峠がやすらっているように詠んでいる。
蕎麦はまだ花でもてなす山路かな
蕎麦の実はまだとれないが、花が咲いている山路に旅人は心豊かになる。訪問者を主人に代わって山路がもてなしている。
民謡の後は詩吟や菊花展
尺八に声張り上ぐる菊花展
観客はまばらなれども靖国の御霊に捧ぐ詩吟民謡
入れかはり誦するは詩吟「白虎隊」ふとれる
媼(をうな)剣(つるぎ)をもたず
御霊屋にとどけとばかりはりあぐる声ひびわれて
「白虎隊」はや
秋晴れの礼拝殿の入り口に二流垂れたる錦の御旗
大いなる黄なる南瓜が店先にあまた並びてむふむふ笑ふ