天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

もてなしの心

 先の幻影まではいかないが、擬人法の例もある。
        雲雀より空にやすらふ峠哉
やすらっているのはもちろん作者・芭蕉なのだが、峠がやすらっているように詠んでいる。
        蕎麦はまだ花でもてなす山路かな
蕎麦の実はまだとれないが、花が咲いている山路に旅人は心豊かになる。訪問者を主人に代わって山路がもてなしている。


 今、靖国神社は秋の例大祭中である。

        民謡の後は詩吟や菊花展
        尺八に声張り上ぐる菊花展
   観客はまばらなれども靖国の御霊に捧ぐ詩吟民謡
   入れかはり誦するは詩吟「白虎隊」ふとれる
   媼(をうな)剣(つるぎ)をもたず


   御霊屋にとどけとばかりはりあぐる声ひびわれて
   「白虎隊」はや


   秋晴れの礼拝殿の入り口に二流垂れたる錦の御旗
   大いなる黄なる南瓜が店先にあまた並びてむふむふ笑ふ