天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

銀杏黄葉

 靖国神社の銀杏並木を見ているといくつかのことに気づく。特にギンナンができたり、黄葉、落葉の季節には、個性のあることに感心する。雌と雄の樹があること、そしてこれは当たり前だが、雌の樹にギンナンがなること、黄葉や落葉の時に違いがあること、従って黄葉の並木はまだらになる。


   いつかうにうまくならざる三味線に軍歌つまびく靖国の昼
   小春日の眠たき昼を虫食いのさくら黄葉が音たてて散る
   いっせいにさくらもみぢの落ちたれば空をにはかに風過ぎる
   らし

   黄葉の時に差のあり境内の銀杏並木を見上げつつゆく

        白鳩やさくらの落葉踏み鳴らす
        銀杏ちって足裏(あうら)にやさし九段坂

なお、次は、ある日の上野公園での嘱目詠である。
   料亭が買ふのだらうか公園の銅像下に干せる銀杏(ぎんなん)