天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

時頼忌俳句大会

建長寺応真閣

 正午までは、久しぶりに材木座海岸から和賀江を歩き、天照山光明寺に寄り、鶴ヶ丘八幡宮を経て十二時過ぎに建長寺に入った。
 第二次大戦後に始まったのだが、毎年、勤労感謝の日建長寺で時頼忌俳句大会が開催される。
今回は、第五十三回という。初めて参加した年を覚えていないが、一度出席すると毎年、案内状が送られてくる。初めて参加した時は、全投句の中から参加者も三句選び、選者は三十句選ぶという手のこみようであったが、そのうち選者のみの選になり、時間も当初は、午後一時から六時頃までかかっていたが、今回は投句のプリントも配られることなく、一時に始まり三時半には終ってしまうという短縮のしようである。会は方丈における読経とお焼香から始まる。例によって参加者全員で、般若心経、消災呪(しょうさいしゅう)(三度唱える)、大悲円満無礙神呪(だいひえんもんぶかいじんしゅう)、白隠禅師坐禅和讃などを唱和した。
従来は俳句大会の物故者の供養をひとりひとり名前をあげてお経をあげていたが、今回は一括した読経であった。管長の挨拶は、今日、法堂で開催された公開講座「無限の清風」講演の要点紹介であった。講師は宗教学者山折哲雄氏で、災害時における日本人の態度の美徳は、万葉集依頼の詩歌の情緒が培ったとのこと。
この後、俳句会場の応真閣に集まる。数年前までは、選者が選句する間、教学部長の和尚が境内を案内してくれたり、時頼忌の由来を話してくれたり、と時間を費やしたが、今回は御成小学校生徒による「子供ヨサコイ」の踊りを会場の廊下で披露してもらった。
選者も参加者も高齢化して、選に入る句も全く新鮮味がない。これでは、若者の参加も望めず、数年にしてピンチになってしまうのでは、と危惧される。


        金色の朝光(あさかげ)放つ富有柿
        山茶花やいくさを語る邸跡
        小春日の渚にひろふ貝の夢
        小春日の渚に朱き海星かな
        小春日の和賀江かがよふ夢の船
        和賀江嶋根石に群るる都鳥
        入滅の清しさに立つ枯(かれ)蓮(はちす)
        いきものの色の潜むや枯蓮
        谷戸出でて鳶帆翔す時頼忌
        ほむら立つ柏槙冬を厭はざる
        晩秋の風池の面にうつりけり
        方丈に足首さむし時頼忌


   岩礁のうすく残れる和賀江嶋ウィンドサーフィンつらなり
   出づる


   ヨサコイの鳴子両手にうち鳴らし応真閣に子等踊りけり
   ブラジルはサンバのリズム ソーランは北海道版ヨサコイ
   踊る


   墨太き「天下禅林」凛々と応真閣の床の間に垂る
   選者らが背にして座る床の間に墨痕淋漓「天下禅林」