天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鶴ケ丘八幡宮の句碑

 鎌倉の鶴ケ丘八幡宮境内には有名な源実朝の歌

  山はさけうみはあせなむ世なりとも君にふた心わがあらめやも

が、大正12年の関東大震災で倒れた二の鳥居の柱に刻まれて、鎌倉国宝館の右手に歌碑となっている。これは説明板が立っているので、分りやすいのだが、白旗神社に向かって左手の池のほとりにある句碑が誰のものか、私には長年分らず、見かけるたびに気にはなっていた。それが、菅裸馬の句

     歌あはれその人あはれ実朝忌

であることを知ったのは、お孫さんである長瀬達郎氏の著書『俳人菅裸馬』のなかであった。句碑には近づけないので文字の判別は難しいが、写真を撮って拡大して見ると、その表記は 

      歌あ波れ
     その人阿は連
       実朝忌
         裸馬

のように見える。それはともかく、菅裸馬は歌人・実朝の研究者であり、鶴ケ丘八幡宮実朝忌俳句大会の提唱者であったことをこの著書で教えてもらった。句碑の背景はこれで明らかになった次第。

[注]本文は数年前に書いて掲載を忘れていたのだが、鶴ケ丘八幡宮の境内を散歩する
   たびに句碑のことが思われるので、あらためて取り上げた次第。
   なお2012年1月6日のブログ「鑑賞の文学 ―俳句篇(23)―において、菅裸馬の
   花茨の句を取り上げている。

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菅裸馬の句碑