天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

海の日

「海の詩」

 今日は「海の日」で祝日。念のため百科事典を調べた。海の恩恵に感謝するとともに、海洋国家日本の繁栄を願うという趣旨で、1995年に制定された。1876年明治天皇が東北・北海道巡幸の際に、汽船「明治丸」で横浜に帰着した日にちなみ、1941年以来〈海の記念日〉とされていたのを改称した。ちなみに「明治丸」は現在、東京海洋大学の構内に国指定の重要文化財として展示されている。
 もっと若い頃は、この時期になると会社を休んででも鎌倉の海に寝転んで日に焼けていたが、今となっては苦い思い出。さりとて夏の海辺には生命のけだるさがみなぎっているので惹かれる。


  小田急鵠沼海岸駅に降りいざ海を見むビーチサンダル
  背の低き松に囲まれところどころ白き家あり鵠沼海岸
  白塀が囲む洋館 庭に咲く夾竹桃の紅白の花
  ラグーナとふホテル出でくる自動車の若き男女を
  うらやむなゆめ


  海の日や河口に寄する白波にのりてそよげるサーファの群
  砂に足とられてころぶ嬌声のビーチバレーのコートなりけり
  椋鳥がゲンゲつひばむ公園に平和の像の青年が立つ
  青年のこぶしに鳩の像あれば翼に鴉二羽きてとまる
  点々と浜辺に散れり燃え屑の花火かなしき片瀬海岸
  湘南の海の家見る水族館イルカのショーに歓声あがる
  砂よけの竹垣に見る張り紙の「トビに注意!!」の色
  けばけばし


  海底にもぐりゆくらし身をそらし片手に鯛を抱ける少女
  霧たちて梅雨のうしほのうちよする片瀬江ノ島腰越漁港
  半跏思惟弁財天の膝の上の琵琶鳴り出づる噴水の池
  ひときはに腰をひねりてなまめかし薄き衣のインドの女神
  少年の性の衝動しづめむとおもひ悩めりギリシャの女神
  ビーナスは右手に髪をかきあぐる湯浴みの後の裸のほてり
  左手に薬瓶さげて瞑想す性さだまらぬ唐の御仏
  ビニールの羽根たててくるサーファのばさと倒るる江ノ島の海
  
     砂浜の鴉も見るや水遊び
     梅雨空の黒きサーファ藻塩草
     雑魚釣るや梅雨明け待てる靄の岸
     海の日の燈籠河口をさかのぼる