天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

徒然草(1)

 「CDクラブ」(古典コース)に入っているので、代表的な日本の古典のさわりの文章が、朗読と解説つきでCDに入れて定期的に送られてくる。もともとNHKテレビの教養番組から収録したもので、解説者はそれぞれの古典の専門家なので、安心して聞いておれる。ただ、値段が高いのが、気に食わない。今まで、『古事記』『平家物語』『源氏物語』『漢詩をよむ』などである。今月のCDは、『徒然草』である。
 蕪村は相当な教養人であったことが、彼の俳句集を読むとわかる。先にもふれたが、わが国の古典はいうに及ばず主要な漢籍にも通じていた。では、蕪村の俳句には、徒然草を素材にしたものがどれくらいあるか。ざっと調べてみた。十一句と、かなり多い。

     紅梅や比丘より劣る比丘尼
     哥屑の松に吹かれて山ざくら
     花の幕兼好を覗く女あり
     ででむしやその角文字のにじり書
     秋ふたつうきをますほの薄哉
     庵の月主をとへば芋掘に
     あだ花にかかる恥なし種ふくべ
     百日の鯉切尽て鱸かな
     入道のよよとまいりぬ納豆汁
     木のはしの坊主のはしやはちたたき
     霊運もこよひはゆるせとし忘


 芭蕉にせよ蕪村にせよ旅に明け暮れた人生であったにも関わらずよく書籍を読んでいる。常に持ち歩いていたか、暗記するほど繰り返し読んでいたか。まことに頭が下がる。