天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

けはひ坂

化粧坂

 化粧坂は鎌倉七切通しのひとつ。新田義貞がここから鎌倉に攻め入ろうとしたが、果たせなかったという難所である。切通しとは名ばかり。今でもとても牛馬が物資を乗せて越えられる場所ではない。この名の由来にはいくつか説がある。平家の武将の首実験をしたから。つまり、切り取った首の血を洗い落とし化粧を施してから戦奉行が検分したところ。あるいは、この辺りに遊女が多く住んでいたから。あるいは、木がよく生えた坂という木生坂から。ここ源氏山は、春は桜の秋は紅葉の名所になる。周辺には、銭洗弁天寿福寺、葛原ヶ岡、海蔵寺、浄明光寺など見所が多い。だが、今日のように梅雨明けの烈日に曝されては、湿気が多いために、木蔭を歩いていても気分が悪くなる。


     龍神の吐く滝水のとどろけり
     うぐひすや女先ゆく化粧坂
     蝉時雨手に手をとりて化粧坂
     訪ぬれば山門不幸萩の風
     文人の墓地にぎはふやほととぎす
     
  水神に卵供へてをろがめり水湧き出づる谷戸の洞窟
  女らに阿弥陀三尊見するらし萩の風ふく浄明光寺