天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

面掛け行列

御霊神社の面掛け行列

 その昔鎌倉近辺には、大庭、梶原、長尾、村岡、鎌倉という平氏五家があった。これら五祖を祀る神社として五霊神社が建てられたが、後、勇猛でならした鎌倉権五郎景政だけを祀るようになり、通称権五郎神社と呼ばれるようになった。そして、いつの頃からか、景政の命日である九月十八日に面掛け行列が行われるようになった。伎楽・舞楽・田楽などからきたと思われる奇妙な面を十人衆がかぶって附近の街中をねり歩くのである。
 で、今日は、その九月十八日。御霊神社に出向いた。境内では先ず、神職による神楽が執り行われた。その後、この地区の子供らを先頭に面掛け行列が始まった。


     大銀杏下に湯あげの神事かな
     雨やんで湯花神楽や秋日差し
     ぎんなんの下に沸き立つ湯玉かな
     かんなぎが米撒く上を黒揚羽
     笹舞のかんなぎ二人秋日差し
     ぎんなんや四方につぎつぎ矢を放つ
     面掛けの列の背に差す秋陽かな
     塗りはげし面がつらなる秋日差し


  神前に湯を奉る巫女ありてべうべうと鳴る横笛の音
  観客が手をふるほどに飴を撒く黒き天狗の面の神主
  かむなぎの神楽おはりて出立す御霊神社の面掛け行列
  子供らの囃子、幟が先導す面掛けの列星の井通り
  しんがりは寿老人とふ奇妙なる面が列なす星の井通り