天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

箱根大名行列

箱根奥湯本にて

 11月3日。ずいぶん久しぶりに箱根大名行列を見に行った。大名行列を強いられた参勤交代は、三代将軍徳川家光が、大名の財力消耗を企んで設けた制度だが、後には、大名の勢力を誇示するものになったというから面白い。箱根大名行列は、小田原藩十一万三千石の格式にならって総勢170名。露払いを先頭に、六尺、挟み箱、毛槍、弓、鉄砲、徒士(かち)、小姓、大名、家老、大名駕籠、奥女中、腰元、長持等からなる。昭和十年から、太平洋戦争中を除き、毎年実施されているという。


     風吹きてゆるるがうれし花芒
     秋日差箱根湯本の一里塚
     箱根路は秋の木洩れ陽石だたみ
     箱根路を大名行列文化の日
     笹子鳴く大名行列すぎし朝
     天高し橋の上に打つ火縄銃


  先をゆく小田原北條鉄砲衆鎧兜が火縄銃(ひなは)をかつぐ
  十一万三千石の供揃へ秋の日差の箱根路をくる
  法螺貝を吹きつつあゆむ若武者は頬ふくらみてかなり太れる
  大勢が大名行列見むと来て路肩にならぶ窓に顔出す
  髯面の股立たかき奴衆毛槍なげあげ橋を渡り来