天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

竜宮城駅

すみれ

故障したノートPCをピックアップサービスに渡すため、休日を今日に変更して家で待機。九時半に取りに来てくれた。なんとかファイルが残っていてくれることを祈願するため江ノ島に出かけた。


      水鳥の五羽の来向かふ河口かな
      笹鳴きの姿探さむ草のゆれ
      四阿に野良猫寝たり藪椿
      嫁にゆきし姉を思へり藪椿
      男女別東司のあかり冬桜
      風化せるはせをの句碑や石蕗の花
      鳶あまた棲める江ノ島クリスマス


  江ノ島や弁天橋の片隅に竜宮城の駅描く朝
  海産物問屋丸代商店の生け簀にしずむ栄螺伊勢海老
  裏通り窓に魚拓を貼り出せりジャリメ、イソメの釣り餌売る店
  江ノ島や冬の潮風吹く丘は朝の薄日に黄のすみれ咲く
  奥津宮真鏡ひとつをろがめり八方睨みの亀に見られて
  龍恋の鐘つきにゆく電飾の道かがよへり恋人の丘
  湧き上がる潮のかたまり釣り人の立てる岩場に音なく迫る
  人住みて海岸通りにゴミ出せば鳶あまた舞ふマンションの空