天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

短歌人・十二月度横浜歌会

   
 昨日の横浜歌会には、6人が出席。題詠「白」と自由詠 各1首づつ。出席者ひとりにつき話題になった作品を1首づつ紹介しておく。


  モヘヤーの白のセーター着てゆかむミサのはじまる丘の教会
                      岡田みゆき
  *下句がなんとも牧歌的。特に「丘」に歌の印象が強い。


  喉を開けて空へ叫びぬしろがねのひかり満ち来よ目眩くまで
                      若林のぶ
  *「しろがねのひかり」は月光とのこと。上二句が効いている。


  店頭のもやしの白を暮れ残す八百屋ありたり昭和の頃は
                      平野久美子
  *専門の八百屋もなくなってしまう時代になったのだ。
   結句がちょっとあいまいなので、時期を明確に。
   あるいは地方名にしたら、という意見も。


  かつと点る防犯灯に照らされて主役にとほき日を帰り来つ
                     川井怜子
  *監視範囲に人が入るとかっと防犯灯が点るようなしかけが
   出始めた。主役になれなかった主人公を疑うかのように、
   容赦なく防犯灯が反応する。三句目にキレを入れる、
   最後の「つ」がきついのでは? など。


  ひたすらにもんじゃをはがすコテの先話す言葉をなくしたあとは
                     谷村はるか
  *知り合って間のない男女なのか、あるいは職場の上長と部下
   なのか。わかるようなあ、こんな情景。「ひたすらに」が
   効いている。


  白秋を父にもちたる長男が父をかばへり禅を学びて
  *わが作品。結句をもうすこし具体的な言葉にしたら?
   白秋親子の関係を第三者 がこんなふうに詠むのは、
   不遜ではないか?