天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花狂い

三分咲きのしだれ桜

 今年も桜の時期になった。日本中が花に狂う。小田原には数箇所、桜の名所があるが、毎年欠かさず行くのは、入生田の長興山・紹太寺のしだれ桜である。さっそく訪れてみたが、まだ三分咲き程度であった。まあ休日ともなれば、大変な人出になりとてもではないが行けたものではない。満開ばかりを見るのが桜狩とはいえまい。紹太寺の境内には、三椏の花、石楠花、白木蓮、桜、椿、菜の花、沈丁花 など一時に咲いて、あたかも極楽が現前したかの感あり。


      咲きそめし枝垂れ桜に目白かな
      入生田の山神神社椿散る
      客引のお茶差し出せる桜かな
      春風や御霊屋跡に腰おろす
      杉木立青める春の息吹かな


  さくら咲く山寺跡にひよどりが残り少なき蜜柑つひばむ
  山寺の硝子障子に映りたるしだれ桜の影ぞはかなき
  椿ちり桜咲きたり三椏の黄にちりかかる白きもくれん
  そこここに刻銘石の残りたる寺の跡地に山川の音
  張り出せる太枝支ふる六本の柱古りたり桜しだるる
  三分咲きしだれ桜を背にたちて何をしゃべれる梅宮辰夫
  苔むせる枝幹のみが際立てり花の少なき今年の桜
  
 参考までに、小田原市が出している花の便りのURLを次に書いておく。
  http://www.city.odawara.kanagawa.jp/kanko/Leisure/Flower/sidaresakura.html#