天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

長興山の枝垂桜

箱根入生田

 今年も満開の桜名木に会うことができた。真っ黒な幹や枝と真っ白な枝垂れの花とのコントラストが昼間ながら、得も言われない幻想美を醸し出す。
長興山紹太寺は、江戸時代初期の小田原藩主だった稲葉氏一族の菩提寺で、第二代稲葉美濃守正則が寛文九年(1669)、現在地に建て「長興山紹太寺」と称し、父母と祖母春日局の霊をとむらった。春日局は言うまでもなく徳川家光の乳母その人である。


      もののふの菩提とぶらふ桜かな


  のちの世にこの美伝へむ名木の桜クローンの苗育てをり
  人の世の四百年を見つづけし枝垂桜がわが前に立つ
  今年もや長興山の花咲きて四百年の輝きを垂る