天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

連翹の花

吾妻山の連翹

 咲く時期が重なるので、一見、山吹の花と紛らわしい。中国原産のモクセイ科の落葉低木。江戸時代に渡来したという。午後から雨になるという予報を気にしつつ登った湘南二宮町吾妻山の丘陵には、まとまって咲く連翹の花がまぶしかった。


      鶯の声山頂に登り来る
      葉桜や腕立て伏せの吾妻山
      日と遊ぶ青葉若葉の吾妻山
      見返れば山笑ひをり袖ヶ浦
      袖ヶ浦橋梁下に若布干す


  吾妻山朝のひかりに息づけるコナラの若葉葉桜の木々
  鬱深き杉の木立に青白き明り点せり著莪の花むれ
  祠には木花開耶姫の霊丘を黄に染め連翹の花
  たたなはる山並越えてとどろけり富士演習場砲撃の音
  とび発ちてまた飛びきたる何鳥か菜の花刈りし後の畑に
  よろこびて若葉の梢を啼きわたる小鳥の群をあかず見てゐつ
  葉桜の山にうぐひす啼きたれば蝮は浅き睡りを眠る
  散りのこる桜つひばむひよどりの猛々しきをしばし憎めり
  ヒヨドリの鋭き声に責められてわが落ちつかぬ葉桜の山
  一日を釣りに過ごせる袖ヶ浦白波寄せて砂利を引きずる