天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

露草

月草、蛍草、青花とも

 月草、蛍草、青花、帽子花、かまつか、おうせきそう鴨跖草 など別の呼び名がある。ただし、このうちの「かまつか」は、中国・四国地方の方言らしいが、葉鶏頭の別名でもあるので、注意を要する。世界中に見られる雑草という。若葉は食用、乾燥して利尿剤に使われた。露草の花摺の色が縹色であるが、あせやすい。これから、恋の心変りの比喩に使われた。万葉集には、九首が詠まれている。


  月草に衣は摺らむ朝露にぬれて後には移ろひぬとも
                    作者未詳
  朝露に咲きすさびたる鴨跖草の日くるるなへに消ぬべく思ほゆ
                    作者未詳

  鴨跖草に冷やき雨ふるこのあした夕刊と朝刊と濡れてとどきぬ
                    北原白秋
  つき草ははかなき花とおもへども相模の小野に見ればかなしも
                    斉藤茂吉


      月草の色見えそめて雨寒し    暁台
      露草の瑠璃をとばしぬ鎌試し   吉岡禅寺洞
      露草や飯噴くまでの門歩き    杉田久女
      露草も露のちからの花ひらく   飯田龍太
      露草を抜き捨ておけばそこに咲く 坂本孝子