天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

散在ケ池

鎌倉湖

 散在ケ池森林公園は、北鎌倉明月院のはるか後方に位置する。大船からみると今泉台という宅地の奥にある。地図の上では、鎌倉湖として出ている。しばらく行っていなかったので、場所を見つけるのに時間がかかった。池を一周する散策ルートは、今の時期、鬱蒼たる樹木に囲まれて暗い。そのところどころに説明板が立っていて、この森の植生や虫、鳥などについて解説している。
 江戸・明治の時期には、大船地区には大水田が広がっていたが、水源が一つのため、村の間で水争いが絶えなかった。三村の地主が話し合って、この池を整備管理することで、争いをさけたという。散在は分散した三村の意味でもある。
 この森には、約七十種もの鳥がやってくる。珍しいもののみあげると、留鳥には、コカワラヒワ、キセキレイ夏鳥として、アオバズクオオルリサンコウチョウ。冬鳥には、アオジアカハラ、エゾビタキ、カシラダカ、クロジ、ジョウビタキ 等。
 木には陽樹と陰樹があるという。陽樹とは、大きくなるために強い陽光を必要とする木で、コナラ、クヌギ、サクラ、スギ、マツ 等。陰樹とは、非常に弱い陽光のもとで大きくなることができる木で、シイ類、クスノキ、カシ類 などがある。陽樹の高木林のあとに陰樹の高木林が出てくるらしい。


      緑陰に龍太の『遅速』読みすすむ
      梅雨やみてみどり小暗き木立かな
      夏木立木にも陽樹と陰樹あり
   
  梅雨やみてしとど滴る池の面に口開きて寄る色鯉の群
  ぱらぱらと木の葉のしづく落ちにけり散在ケ池の馬の背の道
  強い虫弱い虫あり木の幹の樹液吸はむと触覚を振る
  朝の日の光青めり水草の息吹にけむるせせらぎの径
  グリーン車の席にひろげし弁当の華やかなれは熱海行きなる