天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

金木犀

大磯にて

 大磯には庭に金木犀を植えている家が多い。大磯駅から高麗神社まで、旧東海道沿いに歩いている時に気付いた。それで思い出したのだが、先日の短歌人・横浜歌会で岡田 幸さんが出した次の詠草。

  秋の陽の付録のやうなものですね金木犀のこぼす
  かをりは             岡田 幸


歌会では、「付録」とか「陽」とかが気になったのだが、大磯のそこここで咲いている金木犀を見ているうちに、これで良いのだ、と感じた。


      金木犀にほふ大磯一里塚
      金木犀咲きほころびて散りしけり
      老いふかき紫陽花を吸ふ黒揚羽
      口あけて通草落ちたる山路かな
      ひとつあればキノコ気になる山路かな
      玄関に通草が迎へ鴫立庵        
      百歳坊墓碑にかかれり返り花      


  イノシシと出会はば如何に身を処さむ地獄沢経て山路をのぼる
  地に落ちし通草のあれば上つ方通草は生るか梢見上ぐる
  どこまでもつき来る蚊なれタオルにて払ひつつ行く山路
  なりけり


 鴫立庵に寄って、投句箱に今日作った句の二、三を入れた。