天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

柏槙

円覚寺方丈庭園にて

 円覚寺の方丈庭園に蘇生外科治療を施した柏槙(びゃくしん)の大樹がある。鎌倉市の指定天然記念物になっている。柏槙はヒノキ科の常緑高木で幹はひどく捩れる。雌雄異株。日本に自生する柏槙はイブキと呼ばれた。建長寺にせよ寿福寺にせよ禅宗の大寺の境内には、決まって特定の場所に植えられている。中国の禅宗寺院の庭園様式からきているのであろうか。


      円覚寺山門に聞く初音かな
      石畳ゆけば梅ヶ香東慶寺


  柏槙の梢に群るる椋鳥の声すざまじき三月二日
  鐘楼の柱古りたり洪鐘(おほがね)の重さに耐ふる
  「国家安泰」


  山門の外よりのぞく境内の木々の梢にヒヨドリの声
  句碑歌碑を訪ね歩ける東慶寺死者のねむりを乱さざらなむ
  今までは見かけざりしをあでやかに花かざらるる川田順の墓